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地域生活支援と制度

制度を知ろう、制度を使おう


    制度を知ろう、制度を使おう 東京都社会福祉協議会  朝比奈 ミカ 2003

    *制度ってナニ?
       障害者基本法という法律には、障害者は一人ひとり大切な存在としてそれにふさわしい支援を受ける権利があること、障害者は社会の一員としていろいろな活動に参加するチャンスを手にできることが決められています。ここに書いてある「支援」や「チャンス」を具体的な形にしたものが「制度」です。あなたの子どもが人生でぶつかるさまざまな壁を越えていくために、あなたの子どもが自分の夢を自分でかなえていくために、社会が用意した支えが「制度」なのです。

    *こんな制度、あんな制度
      医療や教育、福祉、就労、手当、権利擁護等々。制度には、毎日の暮らしに関わるいろいろなものがあります。制度をつくるのは、国と都道府県と市区町村です。年金や医療などは国がつくる制度で、全国どこに行っても同じように使えるけれど、都道府県や市区町村がつくる制度は、その地域の住民だけが利用できるものです。保育園で障害児を受け入れてくれるところ、ホームヘルパーを必要なだけ使えるところ、グループホームに家賃補助があるところ、就職先を探してジョブコーチをつけてくれるところ等々。使える制度がたくさんあって障害者が暮しやすいまちもあれば、そうでないまちも…。福祉の分野では、2003年4月から『支援費制度』が始まります。各市区町村が運営する制度なので、それぞれにすごく違いが出てくるかもしれません。支援費制度の目的は、利用者が使いたいサービスを選んでいくということ。利用者がしっかりと選ぶことで、使いやすい質のよいサービスをつくっていくということ。支援費制度がうまくいくかどうかは、制度を使う一人ひとりのかかわりにかかっているのです。地域の制度をどんどん使って、地域の制度にどんどんモノを言って、みんなで制度を育てていきましょう。

    *地域の制度を調べてみよう
       制度を使うには、まず知るところから。情報は「力」です。市区町村の窓口へ行って、障害者福祉のしおりをもらいましょう。「ありません」と言われたら、「障害のある人が使える制度を説明した資料をください」と言ってみてください。バラバラの紙しかないところ、イラスト入りの小冊子にしているところ、いろいろです。しおりを手に入れたら、何人かで集まって一緒に読んでみてはいかが?わからないことはメモをして、市区町村の窓口にみんなで出かけて質問しましょう。生活支援センターや障害者施設の職員、学校の先生を引っぱり込んで、勉強会を開くのもよい方法かも。自分のまちのことだけでなく、隣町のことも調べるのも役立ちます。違いを比べてみるときっといろんなことに気がつきます。集めた情報で、オリジナルのしおりをつくってみましょう。とりあえずでも、わかったことをまとめておくのはとても大切。後で足りない情報に気づいたら、どんどんバージョンアップさせれば、ほんとに役立つパワフルなしおりのできあがり。

    *耳で聴いて、目で見て、実際に確かめよう
      制度というのは使ってみなければなかなか「使い心地」がわかりにくいもの。制度を使ったことのある人、いま使っている人を見つけて話を聴きましょう。どうやって手続きをしたか、どんなふうに使っているか、お金はいくらかかっているか、使ったときの子どもの様子はどうだったか等々。一人の話だけでなく、何人かの話が聴ければなおベター。制度を使いこなす具体的なイメージがわいてきます。作業所やショートステイなどだったら、みんなで一緒に見学に行ってしまいましょう。自分の目で確かめなくちゃ、ね。

    *地域のグループのことも知っておきたい
       制度じゃないけどいろんな活動をしているところもあるんです。地域のなかに、障害児の学童とか、会員制のヘルパー派遣とか、小さな作業所とか、遊びのイベントとか、宿泊体験とか、そんなことをやっているグループはありませんか?制度を使うよりお金がかかることが多いけれど、そんなところとも付き合うことで、子どもの世界はもっと広がります。そのうえ、彼らはきっと、地域のなかで障害者や障害者の生活支援のことを一緒に考えていく、力強い仲間になってくれます。

    *相談窓口を探しておかなくちゃ
       制度を知るとき、制度を使うとき、味方になるのが相談窓口の職員です。公立の窓口もあれば、民間の窓口もあります。どこに行けば相談できるのか、どこがたくさん地域の情報をもっているか。相談窓口のこともちゃんと調べておきましょう。あなたとあなたの子どもが車のドライバーだとすると、相談窓口はまちの要所要所にあるガソリンスタンドのようなもの。エンジンを調べて給油して車を洗ってわかりやすく道を教えて笑顔で送り出してくれる、その先の運転が難しそうだったらときには先導してくれる。緊急のときには駆けつけてくれる。役に立つ相談窓口は、そんな存在です。でもなかには、頼んでも面倒くさそうな顔をしたり、エンジンの知識がなかったり、道を間違って教えたり、そんなところもあるかも…。そうしたら、みんなで学んだ知識や情報を使ってフォローしてあげて。そうして、ぜひぜひ、相談窓口がホントに役立つように育ててあげてください。

    *制度といっしょにまちに出よう!
       制度を知ったら、制度を使ってまちに出ましょう。例えば、ホームヘルプやガイドヘルプのサービスは、一人ひとりの日常に合わせて、自宅に来て家事をしてくれたり、話し相手になってくれたり、ご本人と一緒に外出してくれたり。言葉が出ない、こだわりが強い、気持ちが伝わらなくてパニックを起こしてしまうという子どもだと、「いつも家族がそばにいないと」とか「私じゃなきゃダメ」とか思いがち。そんなとき、あなたが子どもの通訳になったらいかが?何が好きで何が嫌いか、どんなふうにサインを読みとればいいのか。そうして、あなたの子どものことを理解してくれる人を少しずつ増やしていきましょう。どんなに頑張っても、親子は一生一緒には生きられない。あなたが疲れたとき、老いたとき、突然子どもを放り出すようなことはしないで。兄弟だけに任せるようなことはしないで。制度と、その周辺で動いている人たちは、子どもの大切なサポーター。子どものサポーターを一人でもたくさん増やしていくことが、いちばんの安心です。生きていくのに失敗はつきもの。失敗は若いときにたくさんしておくに限る。だからこそ、あなたが元気で子どもが小さいうちから、少しずつ少しずつ、さぁチャレンジ!

    *制度を使ったら
       制度を使うとき、その手続きは想像以上にやっかりかもしれません。ときには、こんなに面倒ならもうイヤ!ってさじを投げたくなるくらいに・・・。ようやく制度が使えても、必ずしも満足がいくとは限らない。イヤなこと言われたり、お金でもめたり、説明と違ったり、トラブルがいろいろ出てくるかもしれません。そんなとき、黙っていてはダメ。制度の使い勝手は制度を使う側が教えてあげなくちゃ。手続きの窓口の人に、サービスを提供する人に、不安や不満をしっかりと伝えましょう?そんなことを言ったら子どもに影響が出ない?と気にする気持ちはみんな同じ。自分の感じた不安や不満が当たり前のことなのか、いろいろな人に相談してみるのも一つの方法。一人で言いにくいこと、一緒に考えてくれる仲間を見つけましょう。それから、制度を使った感想を仲間で交換してみてください。あなたが満足していても、他の人もそうとは限らない。他の人が気づかなかったこと、あなたが気づいているかもしれない。感想を話し合うと、制度の課題やサービスの良し悪し、いろんなことがわかるハズです。制度やサービス、使った満足、他の人にどんどん広めましょう。いろいろトラブルあった人、1回使ってもうコリゴリと思わないで。手続き簡単、ピッタリフィット、そんな制度を使いながら創る「参加型」で行きましょう!

    *地域の関心と運動が制度をつくる
       あなたの子どもが使っていく制度は、長い年月のなかで少しずつ積み上げられてきたもの。障害のある先輩やその親たちが、粘り強く運動して共感を広げて獲得してきたもの。障害者が暮しやすいまちをつくっていく一番の力は、地域の関心と、一人ひとりの思いと力を集めた運動なんです。みんなが何も知らないままだったら、みんなが一人ぼっちで閉じこもっていたら、地域は変わらないまま。勇気を出して、地域の人たちにあなたの子どものこと、一人の隣人として伝えていって。あなたたちの暮しにくさを知らなければ、あなたたちの喜びや悲しみに気づかなければ、地域のなかに理解も共感も生まれない。地域はいつのまにか偏見に染まってしまう。いまを生きる子どもたちのために、未来の子どもたちのために、どんな人も排除しない地域を創っていくために、仲間をつくって、輪を広げて、少しでもできること、皆で一緒に考えていきましょう。      

    元気になる親の本〜地域にセーフティネットをつくる』 より転載。
      1冊500円
      申込みは (社福)全日本手をつなぐ育成会 ( INCLUSION  JAPAN )
      TEL 03-3431-0668 まで
      http://www1.odn.ne.jp/ikuseikai/

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