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中学校時代の療育   〜多様な選択肢発見の手伝い〜

                      仙田子どもの発達研究所 所長  仙田周作

中学時代の3年間の療育は、学童期と比べると、いよいよ社会に羽ばたくことを射程に入れる時期として、また身体的、精神的にも思春期に入り、青年期へ移行する時期として、重要な面を持っている。社会に羽ばたくという意味においては、将来、その子どもの可能性がどこにあるかをあらゆる面から模索し、見定める時期に来ていると言えるだろう。
 この時期の興味の方向は、将来の趣味としての意味を持ち始めるし、将来の職業選択の際の指標になるかもしれない。学業面では、得意不得意や関心の方向を探ることによって、あるいは能力の方向性に焦点を合わせる努力によって、中学卒業後に歩んで行く道は、より前に開かれていくだろう。能力に凹凸がある彼らには、人一倍優れた律儀さ、真面目さ、一つのことに熱中する集中力、特殊な記憶力なども隠されている。一つのことに自信を持った子供は、それだけで一生豊かに誇りを持って生きていける。中学校時代にどんな側面でもいいから、子供一人一人に備わっている良い面に、周りが目を向ける心がけをすることができたならば、子供たちの、その後の生き方は、随分変わっていくのではないだろうか。
 勉学の機会がどうしたら得られるか、社会と繋がっていける仕事にどうしたら関わっていけるか、まだ中学生の子供たちの力だけでは見えないことが多い。それを助けるのがこの時期の親や教師、療育機関の大きな役割に違いない。子供たちの将来は、彼らにどれだけ多様な選択肢を与えてあげられる手伝いをできるかにかかっていると言える。保護された学校という環境の中で、教育を受ける立場から、進路の違いはあっても、いずれは一人の個人としての責任が要求される時期が来る。環境と立場が大きく変わることへの準備が必須となる。自分で考えて選択する(できる)ことの大切さ、そしてその責任は自分にあることを生活の中で学び取っていくことが大きな力となる。また、他人からの評価だけではなく、自分で自分の行動を評価して矯正することができたなら、より大きな自信に繋がることだろう。
 家庭の中では例えば手伝いも「暇なときにする」のではなく、家族の一員としての分担、役割としての位置づけ、その中で存在感をしっかり持たせることが必要である。さらに、豊かな個人生活を楽しめるよう、見守り、促していきたい。インターネットや、交通手段の利用、公共施設や、地域の社会資源の利用など、もう一歩、社会とのつながりを持たせた新たな世界に触れる試みをすることで、子供たちは興味や関心の幅を広げ、楽しみ方とその内容に拡がりを持つことができるだろう。ライフサイクルという意味においては、小学校への就学は社会に接する「はじめの一歩」であり、中学校時代は、小学校6年間と将来の可能性の間に立つ「発見と選択への一歩」と言えるのではないだろうか。
 仙田子ども発達研究所は、一人一人のニーズに沿った認知や、社会性の発達を促す療育を提供すると共に、そうしたライフサイクルの視点に立って、子供と親を支えるべき存在であり続けたいと思う。

2003年版

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